添乗員にみなし労働時間制は適用できない

「阪急トラベルサポート」と、添乗員との間で、見なし労働時間制を適用できるかどうかが争われ、最高裁判所は、「労働時間の計算が難しいとは言えず、適用できない」と判断しました。①日程がきちんと決められている事,②携帯電話を貸与しており、いつでも指示を受けることができる状態にあった事、③帰国後日報の提出をすることになっている事をあげ、労働時間を計算することが困難とは言えないとして、見なし労働時間制を適用できる場合に当たらないと結論しました。

携帯電話の普及により、みなし労働時間制の適用はかなり難しくなると思われます。

営業手当、業務手当として残業代を支払っていない企業にとっては、見直しの必要がありそうです。

若者の「使い捨て」が疑われる企業への重点監督の実施状況

ー重点監督を実施した約8割の事業場に法令違反を指摘ー

東京労働局は、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取り組みとして東京に本社を置く全国規模の企業を重点に管下18の労働基準監督署(支署)が平成25年9月に実施した、過重労働重点監督(以下「重点監督」という)の監督指導結果及び職場のパワーハラスメントの予防・解決への対応について取りまとめた。

★詳しくは当NPO法人エイ・デイ・アール TEL050-7532-7158までお問い合わせください。

業務上災害の遺族補償年金の男女差に違憲判決出る

夫が死亡した妻は遺族年金を支給されるのに、妻が死亡しても、夫は遺族年金を受け取れない。公務員の遺族補償年金の受給条件に男女差があるのは、共働き家庭が増えた社会情勢を背景に「憲法違反だ」として、年金の不支給処分を取り消す判決が十一月、大阪地裁で出された。年金やひとり親家庭支援制度の中には依然、男女に差があるものが残っており、時代に合わせた制度への見直しが求められる。

今後の動向が注目される。

自主退職を意図する出向は人事権乱用で、無効判決

リコーの退職勧奨を拒否し、子会社に出向させられたのは不当として技術者であった男性社員2名が元の職場への復帰を求めた訴訟で、東京地裁は、「出向命令は人事権の乱用」とし、命令は無効との判断をしました。(退職勧奨は社会通念上相当な範囲とした。)2人はリコーで設計開発の仕事をしていたが、物流会社に出向し、商品の箱詰めや検品を指示された。判決理由で「子会社では、立ち仕事が中心で、それまで一貫してデスクワークに従事してきた2人のキャリアに配慮した移動とは言い難い。出向命令は、退職勧奨を断った2人が自主退職に踏み切ることを期待したもので人選も不合理だ。」として会社側の権利乱用を認めました。(日経新聞より)会社は即時控訴しました。

(出向)

労働契約法、第十四条使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

となっています。大手企業によるリストラ部屋、キャリア開発という名のもとの退職勧奨といった問題がある中、事業主の「ご都合主義」と受け取られかねない人事異動には、警鐘をならされた。

今後の動向を見守りたい。

過労死判決、取締役の責任重大

(知らなかったで済まされない)

居酒屋チェーン「日本海庄や」の男性店員(当時24歳)が2007年に死亡したのは過労が原因として、両親が経営会社「大庄」(東京)と平辰社長ら役員4人に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、大庄側に約7860万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。決定は24日付。

一、二審判決によると、男性は07年4月に入社し、滋賀県の店舗で勤務。同年8月に自宅で就寝中に急性心不全で死亡した。残業時間は、月平均約112時間だった。

一審・京都地裁は、同社の基本給が月80時間の時間外労働を前提にしていると指摘し、「労働時間について配慮していたとは全く認められない」として会社と役員の責任を認定。二審・大阪高裁も支持した。

ブラック企業と言わせないために

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労働紛争は高止まり

《東京労働局における平成24 年度個別労働紛争解決制度の概要》

【相談、助言・指導、あっせん件数】

○総合労働相談件数114,958件(前年度比 10.5%減)

うち民事上の個別労働紛争相談件数25,942件( 同 9.2%減)

○労働局長による助言・指導の申出受付件数651件( 同 25.2%増)

○紛争調整委員会によるあっせん申請受理件数1,365件( 同 1.2%減)

【平成24年度の特徴】

➣ リーマンショックの平成20年度以降、高止まりで推移していた総合労働相談件数は、前年度比10.5%減少するなど落ち着きがみられる。

➣ また、総合労働相談のうち個別労働紛争に係る相談件数も同様に落ち着きがみられる

が、内容的には「解雇」、「退職」等に関する相談が減少する一方、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が増加するなど多様化する傾向にある。

➣ これらの相談と併せて、労働局長による助言・指導を求める事案の件数は、リーマンショック直後に急増した後、平成22年度にはいったん減少したものの平成23年度から大幅に増加した。紛争調整委員会によるあっせんの申請事案についても、同様に平成23年度に増加し、平成24年度についてもほぼ同水準にある。あっせん実施事案のうち合意が成立したものの割合は、概ね7 割を維持した。

 

取り扱い内容の割合

 

解雇

いじめ嫌がらせ

労働条件引き下げ

退職勧奨

雇止め

相談内容

20.9

19.5

12.4

1.6

7.4

助言指導申出

16.9

15.7

14.1

11.1

9.5

あっせん申請

33.0

16.8

 

11.6

11.4

自主解決が不可能

  • 労働相談の内容は、解雇を中心とした退職に関するものが全体としては多いのですが、近年はいじめいやがらせといった相談が非常に多くなっています。相談件数の減少にもかかわらず、自主解決が不可能として、(1)東京労働局長による助言・指導2)東京紛争調整委員会によるあっせんに進む件数が多いというのも特徴です。社会情勢の変化により、労働者を取り巻く環境も意識も時代と共に変化し、複雑困難な問題が多くなっています。

労働に関する正しい知識と日頃のコミュニケーションが大切

労働者が相談したいと思うのはどんな気持ちからでしょう。働いていれば、色々な場面で何故?どうして?という事はよくあります。そのうえ、労働に関する情報は、色々なところで目にします。時代の要請に合わせて法律はどんどん変わっています。管理者の思い込みや都合での労務管理は、紛争を起こす危険があります。

紛争を未然に防ぐための研修

NPO法人エイ・ディー・アールでは、紛争を未然に防ぐための研修を行っています。

研修項目

1.就業規則と労働法

 ・入社から退職までのきまり

 ・労働時間管理のいろは

2.いじめ嫌がらせ

・どんなことがいじめになるか。ロールプレイを通してかんがえる。

3初めて管理者となったかた向け

 ・就業規則を読む